金澤典子ソプラノリサイタル  
- モーツァルトの夕べ -

チラシ
2003年05月16日(金曜日)19:00開演
会場 江東区亀戸文化センター・カメリアホール
主催 TOPAZ
入場料 全席自由 2000円
伴奏 石井み予乃
(プロフィールは
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演奏曲目

[ Lieder ]
"Das Veilchen" KV476 Wien 8.Juni 1785
"Sehnsucht nach dem Fruehlinge" KV596 Wien, 14.Januar 1791
"Die Alte" KV517 Wien 18.Mai 1787
"An Chloe" KV524 Wien, 24.Juni 1787
"Der Zauberer" KV472 Wien, 7.Mai 1785

[ Arien aus deutscher Oper ]
"Ruhe sanft" (Zaide) aus "Zaide"
"Bester Juengling" (Mademoiselle Silberklang)
     aus "Der Schauspieldirektor"
"Ach ich fuehl's" (Pamina) aus "Die Zauberfloete"
"Martern aller Arten" (Konstanze)
     aus "Die Entfuehrung aus dem Serail"

Pause

[ Konzertarien ]
"Vado, ma dove?"  KV583 1789
"Voi avete un cor fedele"  KV217 1775
"Basta, vincesti...Ah non lasciarmi, no"  KV486a 1778
"Ah, lo previdi!"  KV272 1777


今回のリサイタルは伴奏を短大時代にいつも伴奏して頂いていた友人、石井み予乃さんに頼み、短大当時から勉強しているモーツァルトを演奏会のテーマにしました。

モーツァルトの声楽曲は本当に沢山ありますが、歌曲は思ったほど多くなく、知られている曲も限られています。歌曲にはイタリア語やフランス語のものもありますが、今回はドイツ語のものだけにしました。

モーツァルトはドイツ語のオペラが一般的になる以前の時代の作曲家ですので、ドイツ語のオペラは完成したものではわずかに3曲しか書いていません(『後宮からの逃走』『劇場支配人』『魔笛』)。そのどれもがオペラというよりはジングシュピールで、オペラではレチタティーヴォとして歌われる台詞がそのまま普通の台詞として語られます。今回取り上げた『ツァイーデ』は未完のオペラで、『後宮からの逃走』の元になったと言われる曲です。話の内容もとても似ています。

モーツァルトは他に多くのコンサートアリアを書きました。これらのアリアは知り合いの歌手の為に作曲されたものがほとんどで、その歌手の得意な部分が歌の中で披露出来るように作曲されています。コロラトゥーラが沢山あったり、高音があったり、またはドラマティックな表現があったりと、面白い曲が多いのですが、当時は同じテーマを何度も繰り返す(または少しずつ変化させていく)のが普通だったので、同じ事を何度も何度も歌っていたりします。繰り返しの部分で自分の歌をアピールするように装飾を付けたりして歌うのですが、それを変化を付けて歌うのがなかなか大変で楽しいところです。現在はオーディションでオペラアリアを歌いますが、当時はこのようなアリアをオーディションで歌ったりしたようです。

また、当時は人気演目の再演の際に、出演する歌手が自分にあった曲を他の作曲家(この場合はモーツァルト)に作曲依頼して、その曲を作品の合間に挿入または本来ある曲と入れ替えるということも普通だったようで、そのために作曲された曲もコンサートアリアとして残っています。モーツァルト自身が自分のオペラ(『フィガロの結婚』など)の再演の時に新しく曲を書き下ろしたりもしています。これらのコンサートアリアは全てまとまって出版されてはおらず、その一部がコンサートアリア集として複数の出版社から出ています。ベーレンライター社の新モーツァルト全集にもこれらの曲は収録されています。

それから宗教曲ももちろん作曲しています。今回はアンコールで「アレルヤ」を歌いました。この曲はソプラノソロのモテット『エクスルターテ ユビラーテ』の終曲で、この曲だけを抜粋して歌われることが多いです。このモテットは全曲約20分、4つの曲で構成されています。コロラトゥーラが多く、美しいですがなかなか難しい曲です。

今回の会場は亀戸のカメリアホールで、400人収容の多目的ホール(演劇や演芸によく使用されるそうです)でした。こちらの準備が遅かった為、音楽に適したホールを取れなかったのはまずかったかと思います。響きがあまり無く、直接生の音が聞こえるホールだったようです。ピアノがYAMAHAしか無かったのも残念でした。ちょっとピアノと歌のバランスが悪かったかもしれません。ただ、客席の傾斜が強く、どこからでも良く見えるホールだったと思います。

衣装ですが、前半は濃い赤に青のラメ糸が入った布のドレスで、後半は結婚式のお色直し用らしい紫ピンクのかなり大きな裾を引くドレスでした。後半のドレスは着ようか着まいか迷ったのですが、思ったよりも好評で、嬉しい誤算でした。曲の雰囲気にも合っていたようですね。

衣装のお陰かわかりませんが、長くて退屈するかもと思いつつもプログラムに組み入れたコンサートアリアがかなり好評でした。最後の曲は一曲で10分ほどありましたし、コンサートアリア自体があまりメジャーとは言えない分野なので、その点が心配でした。ですが今回好評だったので、また機会をつくって他の曲を取り上げてみたいと思います。

石井さんとは10年ぶりくらいの共演でした。伴奏合わせもお忙しいところを何回もして頂いて、とても助かりました。またお願いすることがあると思いますが、その時はよろしくお願いします。

最後に、聴きに来てくださったみなさん、本当にありがとうございました。